サラリーマンを辞めたら法人設立
不動産投資で家賃収入が年間1000万前後になったら法人化を検討した方が良いという話はよく聞きますよね。
確かに税金のことだけを考えたら、それぐらいになれば法人化した方が良いでしょう。
そのため、「家賃収入は1000万程度、減価償却や金利などの経費を引けば課税所得は4〜500万ぐらいに抑えられるし、法人化しても節税効果はないでしょ」という人も結構いると思うんですよね。
確かにサラリーマンでいるならばそのとおりではあるんです。健康保険と厚生年金にも入れて保険料も会社が半額負担してくれていますし。
でも、サラリーマンを辞めると国民健康保険と国民年金に加入することになります。そして、国民健康保険は年収に応じて高くなるわけです。
そして国民健康保険は前年度の年収によって決まります。例えば、不動産投資からの家賃収入が課税所得で400万円、サラリーマン時代の年収が700万円だったとすると、サラリーマンを4月に辞めた後は1年間に渡り、毎月国民健康保険と国民年金で10万ぐらい払わないといけなくなります。
さらに、国民健康保険に扶養という概念がないため、妻(パート)と子供二人を扶養しているとしたら、さらに年間15万以上保険料が増えてしまいます。
つまり、上記のように奥さんと子供を扶養に入れていた、サラリーマン時代に年収700万(額面であって課税所得ではない)+不動産所得(課税所得で)400万円というパターンでは毎月10万円以上健康保険と年金のために支払わないといけないことになります。
これって凄い大きいですよね。年間で130万円とか払わないといけないんですから、節税よりもこちらをなんとかした方が絶対良いわけです。
では、どのようにして国民健康保険と国民年金の支払いを少なくするのかといえば、冒頭で書いたように不動産賃貸業の法人化です。
不動産投資の法人化をする際に、個人で所有している不動産を法人に移すのが一番節税効果が大きいのですが、名義を移す際の費用がかかることや、ローンの残債がある場合は銀行が納得するかどうかということもあり、少しハードルが高いです。しかし、単純に個人で所有している不動産を管理するだけの管理委託の法人の設立は非常に簡単でコストもほとんどかかりません。
この場合、特に営業を行うわけでもなく、自分の所有している資産を管理するだけの法人ですから、株式会社にする必要はなく、設立費用の少ない合同会社で全く問題がありません。
実際のところ、株式会社ではなく合同会社でも何も問題はないどころか、維持費用も安くて(赤字会社であれば毎年法人住民税が7万円かかるだけ)取締役会なども必要なくて良いことばかりなのですが、合同会社(昔の有限会社ですね)という呼び名がまだ一般の人にはなじみがないことも多く、信用度が株式会社より劣るということぐらいでしょうか。
ああ、あと合同会社を作れば社長でもあり会社の代表でもあるのですが、取締役会自体がないので、代表取締役社長ではないということぐらいでしょうか。別に見栄っ張りの人以外は全く関係ないことですが(^-^;
さて、不動産投資を法人化したらなぜ保険と年金を安くできるのでしょうか。
それは会社で健康保険と厚生年金に入ることが出来るからです。会社が半分出してくれるからということではないですよ。だって、会社の利益は自分の利益でもあるので(実際は違う財布ですが、まあ同じ財布として考えても良いでしょう)、会社で半分払ってくれても自分が出してるのと同じようなものですから。
ではどういうことかと言えば、国民健康保険は自分の総所得によって保険料が決まりますが、会社の健康保険の場合、給与所得に対しての保険料となるんですね。つまり、不動産賃貸業を法人化してその役員になることによって役員報酬が発生し、その役員報酬を安く設定すれば節税効果は非常に少ないものの、健康保険や年金の保険料を最低ラインにすることが可能なのです。
さらに、国民健康保険ではないので配偶者や子供も扶養に入れることも可能ですから、自分一人分の保険料で済んでしまいます。
この仕組みであれば節税効果はほとんどないので、恐ろしい税務署からの突っ込みはありません。だって節税してないんですもん。やっていることも全く法令に違反しないので管轄の年金事務所からの突っ込みもありません。
そのため、保険料を毎月10万円以上払っているような人でも、毎月2万数千円払うだけで良くなるわけです。
サラリーマン時代に半分会社が負担してくれている状態よりも安くなる人の方が多いんじゃないですかね。
なので、サラリーマンを引退したらすぐに合同会社を設立するのが良いでしょう。毎年100万円ぐらい節約できる可能性があります。
合同会社の設立費用は法定費用の6万円のみ。自分で手続きをすれば6万円とハンコの作成代等で数千円〜数万円払えばオーケー。司法書士に依頼しても全部合わせて10万円ぐらいからで設立出来てしまいます。設立に要する期間も1〜数週間です。
ただし、一番安く上がる方法は、アルバイトですね。サラリーマンを引退した後に、すぐに社会保険に入れるアルバイトを(例えば週に3日程度、一週間に20時間以上です)して、その会社で社会保険に入らせてもらうという方法が一番安くあがります。例えば月に10万ちょっとのアルバイトであれば、社会保険料は1万5千円程度。会社を設立して社会保険を払うよりも毎月1万円ぐらいは安くあがるうえに、バイト代まで入ります。
しかし、のんびりするために不動産投資でサラリーマンを辞めたのに今更バイトなんてしたくないとか、毎週旅行に行ったりゴルフをしたりする時間が欲しいという人は、やはり合同会社を設立するのが一番良いのではないでしょうか。
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