入居者が何も言わないのに家賃を下げる
私は一部の物件では入居者から家賃を下げて欲しいと言われたわけではないのに家賃を下げますと言うことがあります。
家賃を下げて欲しいと入居者から言われて、仕方なく下げるというのはよくあることです。でも、何も言われてないのに家賃を下げる大家は少ないかなとは思います。
不動産投資は慈善事業でやっているわけではないのだから、わざわざ自分から利回りを下げる必要があるのかと思う方もいるでしょう。
でも、私としては最終的な利回りとしては逆に家賃を下げてあげた方が利回りは上がるのではないかと思っているからそうしているわけです。
さて、家賃を下げると言っても、いきなり何万円も下げるわけではありません。また、ワンルームの部屋の家賃を下げるわけでもありません。私が家賃を下げますと入居者に伝えるのは主に家賃をある程度高く取れる戸建ての物件ですね。
高い家賃とは言え、私の所有している物件ですから築30年以上経っている戸建てで多摩地区、駅からもそこそこ離れているような物件なので家賃は10万円程度です。それでも同じ地区にある私が所有しているワンルームのアパートの部屋の3万〜5万円という家賃から比べると2〜3倍以上高い家賃を取っているわけです。
通常、契約の更新は2年毎ですが、更新の時期の数か月前に入居者さんにこう伝えています。
「お家賃なのですが、更新の度に2000円ずつ下げるサービスをしておりますので、次回の更新の際はお家賃は98000円となります。」
これどうですか。勿体ないと思いますか。私の妻はあからさまに嫌な顔をしましたね。更新の度にどんどん家賃が下がってっちゃうじゃないって。
確かに更新の度に家賃は下がりますよ。でも、たった2000円です。じゃあ10年後の家賃はどうなるか。初めの2年が家賃10万円、次の2年が98000円、次の2年が96000円、次の2年が94000円、次の2年が92000円です。2年に一回の更新ですから10年間で4回更新(5回じゃないですよ、5回更新したら12年間になります)、つまり家賃は8000円下がるわけです。
下げ過ぎと思いますか?
10年間で家賃が8%しか下がらないなら(そしてもちろん退去されずに空室が出ないなら)上等ではないでしょうか。
では、20年後はどうなるでしょう。20年間で更新は9回です。つまり家賃は18000円下がり、82000円となります。では30年後は?家賃は72000円となります。いくら戸建てでファミリータイプとはいえ、30年後までは入居してくれていることはないでしょうが、仮に30年後になっても家賃が72000円も取れるんですよ。
15年ほど前に買ったその物件は今築40年近いです。30年後は築70年です。誰がそんな家賃で借りてくれるでしょう。20年後でも築60年、10年後でも築50年近い古家。順当に更新の度に下がっていってもその値段で借りていてくれるだけでありがたいと思いませんか。
私は家賃は1年間で1%ぐらいは家賃は下がっていくものだとして計画は立てています。なので、更新の度に家賃を減額して10年間で8%ぐらい落ちても全く問題はありません。現実問題として持っている物件の家賃を平均すれば10%も絶対落ちませんが。
ただし、10%以上落ちてしまう物件もありますし、ほとんど落ちない物件もあります。これは色々な要素があり、例えば築40年以上経っている団地なんかは10年前の家賃と全く変わりません。いや、募集の時期によってはたまに上がること(数千円のレベルですが)すらあります。しかし、比較的築年数が新しい物件ですと、やはり10年も経つと家賃は下がります。
また、付近に新しく同じような間取り・広さのアパートなどが増えれば家賃は当然下落しますし、競合するような物件が少なければ中々家賃は落ちません。
話を戻すと、10万円で契約した家賃を2年後の更新の際から毎回2000円ずつ減額しても、10年間で本来得られる家賃よりも50万円程度少なくなるだけです。1200万円が1150万円に減ってしまうということです。
もしも、これが例えば10年間で一回でも退去されてしまうとすると、50万円以上の費用がかかるのは間違いありません。
リフォームの値段だってワンルームと違ってかなりかかりますし、ハウスクリーニングだって同様。募集の際の広告費や手数料、さらには営業への謝礼、そして数か月の空室期間を考えるととてもじゃないですが50万円なんかでは収まりません。
もしかしたら家賃を下げなくても10年居てくれるかも知れません。逆に家賃を下げてもすぐに出て行ってしまうかも知れません。それでも、家賃を下げた方が引っ越す確率が下がるのは間違いないと思います。
繰り返しますが、ワンルームなんかは別ですよ。家賃を下げようが下げまいが大学生なら卒業したら普通は退去して違うところに引っ越しますし、独身の社会人なら結婚したらどんなに家賃を下げようが絶対引っ越します。それにそもそも下げられるほど高い家賃取ってませんしね。
なので、転勤などの事情がない限りは長くいてくれることの多いファミリータイプの物件で家賃を更新の度に下げるということを私はしているわけです。
面白いことに、逆に入居者の方から家賃を下げて欲しいと言われた場合は「安くはできないのでどうしてもお家賃が厳しいようでしたらもう少し安いアパートへのお引越しの検討をお勧めします。」と退去を促すようにしています。
私の物件で相場よりもかなり高く家賃を取っているところはなく、全て妥当なお家賃だと思っていますので、それに納得できないのなら退去してもらった方が私としては気持ちが良いです。空室になっても同じ値段で募集すればすぐに埋まる家賃設定だと思っていますから、敢えて下げる必要はありません。
逆に初めの契約でその家賃で約束しているのにそれを負けてくれという入居者はあまり質が良くないことが多いです。普通の人は言ってこないようなクレームを付けてくる恐れが高いのでサッサと出て行ってもらうのが正解だと思いますね。
もちろん、不動産投資は色々なスタイルがあるので、私のやり方が全て正しいわけではありませんし、もっと上手にやっている人はたくさんいると思いますが、一応こんなやり方もありますよということで書いてみました。
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- ピケティのr>gという式は、ピケティが「投資家になりなさい。そして不動産投資をやりなさい。」とアドバイスしていると理解できるかどうかが重要です。
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