ファイナンシャルプランナーの言い分の検証2

家賃は上げられない2

 調停の話の続きですが、例えば、日本の物価が2倍になった時に、大家が家賃を上げたいと申し出たことに対し、家賃の増額はできないなんて調停をするわけがないわけです。そして仮に入居者が調停の額が不満だとしても、それで納得せずに裁判までしないですよ普通。たかが数千円数万円のことで裁判まで行きたがる人ってあまりいませんから、どうしても納得できないなら部屋を退去するのが普通でしょう。そういう人もいる可能性は否定しませんが、仮に裁判をやったとしてもインフレが著しく進んだ状況で家賃の増額を一切認めないなんて判決が出る可能性は非常に低いです。

 

家賃について判決を下す裁判官

 

 ファイナンシャルプランナーの人たちはそこまで考えてから意見を表明すれば良いと思うのですが、家賃はインフレでも上げられないと主張している意見の中で、調停や裁判のことに触れている人はほとんどいませんでしたし、触れていても裁判の話にさらりと触れているだけでした。残念なことです。

 

 もちろん、インフレが10パーセントしか進んでいないのに家賃を倍にするとかなんていう話ではないですよ。さらに言えばインフレが10パーセント進んだとしても家賃の10パーセントの増額を裁判で勝ち取るのは難しいと思います。それはファイナンシャルプランナーの人たちの言うとおりだと思います。まあ、家賃を10パーセント上げるのに大家だって裁判なんてしませんけど。

 

 インフレが10パーセント程度進んだところで、家賃を上げないとどうにかなってしまうようなことはありえませんから気にする必要はないと思います。今後10年で考えたとして、10パーセントインフレが進むとすると、年間に0.9パーセントのインフレです。こんなのインフレとは言えないですよね。家賃上げないとどうにもならないなんて状況じゃないですから。

 

 でも、10年後に物価が倍になって(年間7パーセントのインフレです)、今まで150円で買っていたペットのジュースが300円になり、水道料金も倍、電車代も倍、年金も倍、もちろんサラリーマンの給料も倍となった時に家賃だけ一切の増額が認められないということは社会通念上ありえませんし、民法上も借地借家法上も、経済事情等の変動により家賃の増額を求めることができるとなっています(借地借家法32条)。

 

 インフレ時に家賃を上げることができないというファイナンシャルプランナーの意見が的外れなのがわかりましたでしょうか。


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