住宅ローンの金利は安いのに銀行は貸したがる
1パーセント以下の金利で住宅ローンを借りている人も多いと思います。そんな低金利でもなぜ銀行は住宅ローンを欲しがるのでしょうか。
もちろん、住宅ローンが事業性のローンよりもリスクが低いというのも大きな理由の一つです。そのため、事業性のローンでは高い金利を払って1千万2千万借りるのにも一苦労ですが、住宅ローンであれば4000万5000万という額が申込から3日程度であっさり仮審査が通って2週間後には決済なんてことも普通です(5000万を超える住宅ローンは本店決済となることが多いのでそこまで早くありません)。
しかし、最も大きな理由は自己資本比率です。ちょっと難しいのですが、自己資本と融資の総額との比のことです。それが国際銀行であれば8パーセント以上でなければならないとBIS規制で義務付けられているのです。
つまり銀行が8億円しか自己資本がないのなら100億円までしかお金は貸してはいけませんということです。なぜ8億円しか持っていないのに100億円貸せるかというと、他人資本(預金)を保有しているからです。銀行は貯金してもらったお金を貸して利ざやを稼ぐのが商売ですからね。
しかし、自己資本が貸出総額の8パーセントを割ってはいけないルールを銀行は守らないといけません。でも、ここで企業向けと個人向けの住宅ローンでは計算が違ってくるのです。
企業に1億円貸したら、それは貸出額が1億円増えたことになります。しかし、住宅ローンで1億円貸しても3500万しか貸していないことになるのです。これは住宅ローンのリスクウエイトがBIS規制上貸出額の35パーセントとなっているからです。法人融資はリスクに応じて100パーセントから150パーセントで評価します。
つまり、自己資本比率上、1億円しか貸出枠がなくとも住宅ローンならば3億円以上貸せるのです。貸倒のリスクが少なく、自己資本比率の規制上も有利で、さらにローンを組む人の公共料金やクレジットカードの引き落とし口座から給料の振込み口座まで取れてしまう住宅ローンは、銀行が最も扱いたい商品と言えるでしょう。
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