インターネットを利用して入居者を募集する
不動産屋に募集を依頼し、入居者を紹介してもらうというのが従来の空室を埋める方法です。
インターネットで大家自らが入居者を募集し、空室を埋めるということを積極的にやれば募集の間口が広がり、少しでも空室の期間を短くできるかも知れないと思い、以前ルームシェアをやっていた時、実際にネットで募集して空室を埋めるということをやっていました。
ルームシェアは当時は基本ネットでの募集であり、ネットでの募集に多少の経験は積んでいたので、空室の募集に関してインターネットの掲示板を利用することについては抵抗感はなかったです。
しかし、私はここでインターネットの闇の部分に触れることになります。今考えればインターネットで募集したとしても、きちんとした身分確認、つまり免許証・保険証・住民票・課税証明等々をきちんと確認していればほとんどのトラブルは防げるはずなのですが、それを怠ったことによってトラブルに巻き込まれてしまいました。
それはルームシェア用の掲示板に募集を書き込んだことから始まりました。
複数入居可で戸建ての募集をかけたところ、すぐに何件も反応があり、その中で価格交渉もなく「急な転勤ですぐに入りたい、タバコを吸うので初めからハウスクリーニング代として一か月分を先に払います、少ししたら妻も一緒に住みます」という男性に家を貸すことにしました。
実際に男性に会った際、物件のそばの医療の研究機関に働いていると聞き少し安心感を持ちました。(結局その研究機関に勤めているというのは全くの嘘だったのですが)その時身分証として見せてきたのがその医療機関の名前が入った職員証のようなものでした。男性曰くスピードオーバーで前の年に免許が取り消しになってしまい、今顔写真入りの身分証がこれしかないとのこと。
私は全く疑うことなく、保証人も取らずにその男性と契約してしまいました。ここからが地獄の始まりでした。この男性、初めから家賃を支払う意思は全くなく、月末に支払うと言っていた家賃が振り込まれないため、支払ってくれるように依頼したところ、「あれ?振り込んだのですが...もう一度確認してもらえますか?」など言い、こちらも申し訳ありませんと言って確認するも入金が確認できないため、また連絡するのですが今度は1週間ぐらい連絡が取れない。その後連絡があり、「こちらの不手際で違う口座に振り込んでしまいました。もう一度口座番号を教えてもらえますか?」など言ってきます。
それでもまだその時点で私はその男性を信じていました。初めから全く連絡が取れないであればこれはおかしいと思うのですが、連絡はなんとか取れるのです。それで意を決して直接物件まで行き男性に支払うよう求めると、「わかりました。すぐに振り込みます。」と言うのです。
しかし振り込まれずしばらくすると「今出張中でタイにいます。タイの銀行から昨日振り込みました。ご確認下さい。」などと言ってきます。確認できないと「もしかしたら、タイからなので振込み手続きがうまくいっていない可能性があります。帰国したらすぐに支払います。」などと言ってきます。
結局数ヶ月間すったもんだしたあげく裁判をすることを通告したところ、そのまま夜逃げです。夜逃げされてしまったものですから、裁判は欠席ですることになるので裁判をするまでに官報に記載したりと非常に時間がかかり、結局強制執行の命令をもらえたのは男性を訴えてから5ヵ月後となりました。
裁判をしている間の家賃はもちろん入りませんし、裁判の費用や強制執行の費用までかかり、精神的負担も相当なものでした。インターネットを利用して募集したとしても、身分確認や連帯保証人をきちんと取っていればこんなことにはならなかったはずです。
しかし、羹に懲りて膾を吹くではありませんが、それ以降私は不動産屋を必ず通すことにしています。インターネットで入居を申し込んでくる人の中には不動産屋を通すと借りられない人がいたりするわけです。身分確認などをきちんとすれば良いのでしょうが、その手間を考えるとやはり不動産屋を間に入れた方が私は良いと思っています。不動産屋を通じての募集だけで空室の期間をほとんどなしにできるだけの空室対策をしているので今のところネットを利用する必要性もないわけですが。
さらに言えば、「究極の滞納対策」で説明したように、家賃保証会社を間に入れるという意味でも、不動産屋を通した募集に限定しているわけです。
ただし、これからもっともっとインターネットの利用は増えるでしょうし、ネットを利用した有効な募集の手段もあるかも知れません。もし、あなたがネットを使って募集をすることがあるのなら、免許証・住民票・保険証などの本人確認と源泉徴収及び課税証明、連帯保証人だけはきちんと抑えておきましょう。
ずいぶん前の話です。まだ大家業を始めてすぐの頃でした。今となっては、腹は立つものの、不動産賃貸業を舐めていた自分の甘さを痛感させられ、その後成長するための良いきっかけだったと思っています。
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