不動産投資は持ち続けていればリスクはどんどん減っていく
不動産投資を始めるうえで一番のリスクは高値掴みではないでしょうか。所有した後の段階になれば空室のリスクや事故や火事、不良入居者などのリスクはあるものの、最初の段階で最も大きなリスクは高い値段で物件を購入してしまうということに尽きると思います。
シロアリが食っていたらとか配管が腐っていたらとか、そうしたリスクもあるよと言う方もいると思いますが、良いんですよシロアリが食ってても(いや、良くはないですけど)、シロアリのことを織り込んだ値段で買うなら。それを織り込まないで物件を高い値段で買ってしまうのが問題なのです。
とにかく物件を安く購入できれば(利回りが良ければということと同義ですね)、それだけ失敗する確率が少なくなるわけです。
しかし、物件を安く購入出来なかったとしても、きちんとキャッシュフローが出ている物件であれば、持ち続けることによってリスクを減少させることが可能になるのです。
数字を物凄く簡単にして考えてみましょう。年間に家賃収入が100万円入る物件があります。これを1000万円で買えば利回り10%ですね。それがリーマンショックのようなことが発生し、次の年には同じような物件が500万円で売り出されました。
高値で掴んでしまったわけです。500万損した!となりますね。
でもね、これ500万円の損じゃないんですよ。買ってから1年経ってるからすでに家賃を100万円貰っており、400万円しか損していないんです(諸費用とか税金とか、もちろん空室とかも全部無視しています)。
さらに言えば、いきなり次の年に価格が半額ということも中々ないので、例えば5年後に物件価格が半分の500万円になっていたとしますよね。これまた500万円損した!とはならないのはわかりますよね。損してないんです。だって5年間で家賃が500万円も入ってるから。
つまり、不動産投資って物件を持ち続けていればリスクはどんどん減っていくんですよ。
10年後になったら購入価格と同じ額の家賃はもう貰っています。つまり、リスクゼロになってしまうんです。だって、最初に1000万円払ったけど、もうその分は返してもらった上に物件は残っているんですから、タダで物件を貰ったのと同じですよね。そしたらリスクゼロでしょう。仮にその物件を1円で売ったって利益が出ちゃうんですから(しつこいですが数字を簡単にするために税金やリフォーム費用、空室などは考慮していません)。
そうなるとですね、今1000万円の物件が5年後ぐらいに600万円ぐらいに下がると思うので今は買わないという選択はなくなります。今1000万円の物件が400万円以下になるという確信がないなら今買った方が良いわけです。もっと言えば10年後に物件の価格がゼロ円になるという確信を持っていたとしても今買って損することはないのです(天変地異や戦争でもない限り東京の土地が10年後にゼロ円になることはありませんが)。
さて、5年後や10年後に物件価格が上がるか下がるかは誰にもわかりません。上がるんじゃないかなとか下がるんじゃないかなとか予想は出来ますが絶対に上がるか下がるかわかるのは神様以外にはいないわけです。
つまり5年後に物件価格が上がるか下がるかは二分の一の確率といっても良いでしょう。
しかも物件価格が5年後に半分になっていたり、倍になっているということもないわけじゃないですけど、収益物件に関しては少なくとも収益還元の考え方が浸透している現在ではそんなに値動きは激しくありません。2018年の今は5年前に比べてだいぶ物件価格は高いですが(利回りが低い)、それでも5年前に利回り10%だったものが今は5%ということはないです。7〜8%ぐらいではないでしょうか。
それでも5年後に物件価格が半額になってしまったと仮定しても、利回りが10%ある物件なら損はありません。ということは上がるか下がるかの確率は二分の一でも、購入する時点で利回りが10%以上あれば、上がっても下がっても損はしない賭けなんですよ。
これが数か月で半分になったり倍になったりと価格が乱高下するようなものであればこの話は成り立ちませんが、不動産の価格はそんなに激しくは動かないんです。
なので、少々高いかなと思っても、購入しようとした時点できちんとキャッシュフローが出る物件ならば、買って持ち続けてれば良いんです。5年後になったら半額で買ったのと同じことですから。10年後になったらタダでもらったとの同じです。
では、なぜ不動産投資で失敗する人がいるのか。持ち続けていれば良いだけなのになぜ?
それはたくさんの理由がありますね。そもそも購入時の家賃設定がおかしくて実際の利回りとかけ離れていたとか、空室リスクやリフォーム費用を甘く考えていたとか、購入後に全く努力をしていないとか。
それでも物件を安く買えていれば、ローンの支払いはその分だけ安く済み、空室が多くともリフォーム費用がかかろうとも耐えられる余裕が出来ます。物件を高く買ってしまったことにより、ローンの支払いが多くなり、キャッシュフローがマイナスになってしまい、泣く泣く物件を手放したり、自己破産してしまうという人が出てくるんですね。
なんとも矛盾するような話ですが、物件は高く買ってはいけない、でも少々高くともキャッシュフローがきちんと出るなら持ち続けていればリスクはどんどんゼロに近づいていくということです。
そもそも物件が高いか安いかというのは、以前に比べて高いとか安いということで判断する人が多いのですが、そういう判断をしていると間違える恐れが高いです。
物件が高いか安いかは利回りで、そしてキャッシュフローで見るのが正解です。キャッシュフローがしっかりしていれば、絶対的な価格が以前と比べて如何に高くとも問題はありません。逆に言えばキャッシュフローが出ないものに関してはいくら以前と比べて安くとも買ってはいけません。
最近の状況がそうですよね。2018年の今は去年に比べて物件価格が下がってきました。確かに去年と比べたら安いのですが、本当にきちんと回る物件でしょうか。去年よりは安いとしても買ってキャッシュフローが出せるものは本当に少ないです(現金での購入は前提としていません)。
きちんと回る物件であれば、もしかしたら来年だったらもう少し安くなるのではないかなんて考えることなく買ってしまえば良いのです。持ち続けていれば損はしなくなりますから。きちんと回らない物件であれば、いかに去年と比べて安くても買ってはいけません。持ち続けることができなくなるかも知れませんから。
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