公務員である消防士が不動産投資をしたら懲戒処分になった?
先日、不動産投資で年間約7000万円を得ていた地方公務員の消防士が、兼業を禁止する地方公務員法に違反したとして懲戒処分を受けていたとニュースになっていました。
このサイトでは、公務員も不動産投資で賃貸収入を得るのは法律に違反しないということを説明していますが、なぜこの消防士は処分されたのでしょうか。
地方公務員法上の懲戒処分を受けてしまうことになったポイントはいくつかあるのですが、主な点は承認を受けていなかったということです。
まず、今まで何度も説明してきましたが、5棟10室の基準があります。賃貸に出している物件が5棟か部屋数が10室に達しなければこれは事業的規模に達していないとされ、副業には当たりません。
上記の基準(5棟10室未満)を満たした上で、賃貸収入が500万円未満である必要があります。
さらに、賃貸の管理を自分で行ってはいけませんが、これはあまり問題にはならないのではないでしょうか。公務員として働きながら客付けから管理を全て自分でやるという人はあまりいませんし、現実的ではありません。兼業大家でない専業の大家でも普通は不動産会社に任せることが多いですからね。
つまり、不動産投資が事業的規模に達しておらず、賃貸収入が500万円未満で、管理を自分でやっていなければ、公務員法上の副業には当たらないため、自由にやって良いということなります。申告したり許可を取る必要すらないということになります。
さて、ここからが本題です。
この消防士は賃貸収入で年間7000万円を得ていたとされます。
年間7000万ということは年間500万未満ではなく、また年間7000万ということは5棟10室の基準も間違いなく超えています。
さらに、父親の家業(不動産業)の手伝いで不動産の購入や賃貸をしていたと言っていることから、管理等も自分で行っていたと思われます。
この消防士の不動産投資は事業的規模に達しており、収入は500万を超え、さらにそれを自分で管理していたのですから、これは全ての面で完全に副業となります。
もちろん、公務員の不動産投資が事業的規模に達してはいけないということではありません。事業的規模に達しているなら、それは許可を取らなくてはならないということです。
この消防士が懲戒処分を受けた理由は許可を取っていなかった(承認を受けていなかった)ということです。決して公務員が不動産投資をしたということで懲戒処分を受けたのではありません。それはニュースにも、「基準を上回っているのにもかかわらず上司の承認を受けず繰り返し収入を得ていた」ということで処分されています。
こうしたニュースを見て、「ああ、公務員が不動産投資をしてはいけないんだ。」と思う人もいれば、「ああ、公務員で7000万円も賃貸収入があっても、許可を取れば不動産投資やっていいんだ。」と思う人もいます。
世間的に公務員というのは、やっかみや嫉妬などからとかく叩かれがちです。ニュースでの取り上げ方もネガティブなものが多く、こういうニュースも公務員が不動産投資が多額の収入を得て処分されたという形のものが多いですが、きちんと読めば逆に公務員でも不動産投資をしても良いということがわかる良い材料になると思います。
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