賃貸併用住宅の家賃保証

本気で取り組むなら賃貸併用住宅に家賃保証は不要

 多くの人がハウスメーカーが提案する賃貸併用住宅の家賃保証に魅力を感じています。今まで説明してきたとおり、この家賃保証はハウスメーカーが2重にも3重にも利益を上げる手段なのです。

 

賃貸併用住宅で利益を上げようとするハウスメーカー

 賃貸併用住宅を建てようという人は、ある意味不動産投資の未経験者が多いです。必然、工務店ではなくハウスメーカーで建てる人が多く、建築費は割高になります。

 

 その割高感を払拭すること、大家であることの手間を省くこと、そして空室に対する安心感を持ってもらうこと、ハウスメーカーが建てた時、そして建ててから後もずっと利益を出すこと目的に考え出された非常に巧妙なシステムが家賃保証です。

 

 一つずつ説明していきましょう。

賃貸併用住宅の割高感の払拭

 まず、割高感の払拭ですが、ハウスメーカーの提案する賃貸併用住宅の建築費は工務店と比べるとかなり高いです。テレビCMもやり、大きな住宅展示場をいくつも持ってる上に、営業の社員を山ほど抱えているのですから、工務店と同等の物を同等の値段で出せるわけがないのです。

 

 工務店よりも高い値段でも納得してもらうためには、ハウスメーカーが建てた賃貸併用住宅の部屋が工務店が建てた部屋よりも高い値段で貸せる上に入居率が高くなくてはなりません。でなければ工務店で建てるよりも利回りの低い(割高)ものになってしまいますから。

 

 そこで、「当社のデザインは...女性に好まれる部屋で...テレビCMもやっていますので、相場よりも高く貸せます。」というようなことを営業が言うのですが、高い値段出さなくても工務店にこういうデザインで作ってくれと頼めば同じようなデザインで作ってくれますし、テレビのCMをやったところで、部屋を高く貸すことはできません。テレビCMをやっているセキ○イのアパートとか大○建託のアパートなら高くても借りるので探して下さいって不動産屋にお願いする人いませんよね。

 

 さあ、そこで家賃保証です。近隣のアパートよりも高い値段で貸せるという営業の言葉が信じられなくても、その高い家賃を保証してくれるのであればなんにも問題はないわけです。そんな高い値段で誰が入るのかという心配も、仮に誰も入居せずに空室のままだとしても家賃が入ってくるならなんの問題があるでしょう。

家賃保証を信じてしまった大家

 賃貸併用住宅を建てようと検討している人はこれでみんなコロっとやられるわけです。ホントにそんなうまい話があるのかと考える人も、一部上場でテレビCMまで大々的にやっている会社が嘘をつくわけがない、そんなプランがあるのなら安心だ、お任せしますとなるわけです。建築費が高くても家賃が高く取れるのであれば問題はないですからね。

 

 もちろん、こんなに美味い話はあるわけがなく、30年間家賃保証と謳っておきながら、数年後には家賃の見直しがあります。そこでいきなり家賃が減額されるわけですね。そんなことは聞いてないと言ってもダメです。どこのハウスメーカーの契約書にも数年ごとに借り上げ内容の見直しをするといったことが記載されています。ハウスメーカーの家賃の減額に納得できないのであれば大家は家賃保証の契約の更新をしないという選択肢しかありません。これについては、大手ハウスメーカーと大家が裁判で争ったことがあり、最高裁で大家は家賃の減額には抵抗できないという判断が下されているので、泣き寝入りするしかありません。

 

泣き寝入りする大家

 

 ハウスメーカーとしては、賃貸併用住宅を建築する段階でがっちりと利益を出しているので、3年間ぐらい高い家賃を大家に払っても痛くも痒くもないのです。そこで3年後に相場の家賃まで下げることを要求してくるのです。相場の家賃であれば入居者だって入れることはできますからね。賃貸併用住宅を建てるにあたり、ハウスメーカーを選んで高い建築費を払っただけバカという結末になります。

賃貸併用住宅の大家の手間を省く

 賃貸併用住宅は立派な不動産投資なのですが、大家として本気で取り組む意識の低い人も多いのは事実です。つまり、不動産投資に関する面倒なことはできればしたくないと考えている人が多く、入居者の募集や管理、メンテナンスなどは一切合財誰かにやってもらいたいというわけ。

 

 これに目をつけたのがハウスメーカー。家賃保証に管理を組み込んでいるのです。募集もやります、退去の立会いもやります、原状回復もやります、建物のメンテナンスもやります、大家さんはなんにもせずに通帳に家賃が振り込まれるのを見ているだけでいいですと。

 

 要は、私どもに賃貸併用住宅を建てさせて頂ければ、大家業の面倒臭いことは全部私どもがお引き受けします、私どもはプロですから大船に乗った気持ちでいて下さいと。

 

胸を張るハウスメーカーの営業

 

 これはやられますよね。高い建築費を払っても良い気になってしまうかも知れません。しかし、不動産投資に限らずなんでもそうですが、自分はなんにもせず人に任せて全てがうまくいくなんてことはありません。うまくいくとしても、非常に高くつきます。お金に余裕があるのならばそれも良いのですが、そもそもお金に余裕があるのならば普通の戸建てを建てるわけで賃貸併用住宅は建てないはずです。

 

 では、管理などは全て自分でやれば良いのかという話になりますが、これは家賃保証を利用すると強制的に管理も全てハウスメーカーに任せなければなりません。なぜ、ハウスメーカーはこんな面倒なことをやりたがるのかと言えば、そこにはきちんとした理由があります。

 

 つまり、まず家賃の5〜10%程度の管理費を取ります。建てるだけなら売って終わりですが、管理を取るとその後も継続的にハウスメーカーに利益が上がってくることになります。

 

 さらに、原状回復の費用は大家負担ですが、これについても相場と比べると非常に割高な指定の業者(または自社指定)を使うことが義務付けられ、ここでもメーカーに利益が出る仕組みになっています。

 

 そして、10〜15年後には大規模リフォームをすることが義務付けられ(当然これも割高な指定業者または自社指定です)、これを拒否すると家賃保証が打ち切られます。ここでまたメーカーに利益出ることになります。割高な建築費を取っているのに、10年で大規模修繕しなくてはならないほどの安普請は酷すぎます。

 

 もっとひどい時は、建物が老朽化したので建て替えを提案されたりします。10年20年で老朽化して建て替えなければならない建物って...

賃貸併用住宅の空室リスクを解消する

 賃貸併用住宅を検討している時に一番心配なのは空室リスクでしょう。その空室リスクをこの家賃保証システムが完璧なまでに解消してくれると誤解するわけです。なんたって30年一括借り上げですから。

 

 これなら空室が出ようが出まいが大家には全く関係なく、管理費はかかるものの、入居者の募集から退去の手続き、家賃と空室の保証までしてくれるなら、こんな楽な大家業はありません。なんにもしなくていいのですから。営業の言うとおり、「なんにも心配せずに、ただ通帳を眺めてればいいだけ」という状態です。でも、そんな家賃保証はないことはもう理解できましたよね。

 

 私口を酸っぱくして言ってますが、賃貸併用住宅も不動産投資です。今の時代なんにもしないでただ通帳眺めてればお金が入ってきてウハウハなんてことはないのです。昔はそういう時代も確かにありましたよ。賃貸住宅が圧倒的に少なくて、敷金と礼金の両方が2〜3ヶ月分ずつ取れてそれでも入居者待ちなんてことが東京でも実際にあったのです。20年以上も前の不動産投資の話ですが。

 

不動産業を真剣に行う大家

 

 近隣のアパートの動向や家賃相場、空室の状況を睨みながら家賃を下げてみたり、募集の不動産屋にインセンティブを出したり、安くて腕の良い職人や工務店を探し、いかに安く仕上がりの良いリフォームを掛けたり、建物のメンテナンスをしたり、設備のアップデートをしたりと大家のやることは結構手間がかかるのです。しかし、その手間をかけることによって、しっかりと不動産投資が成り立つのです。

 

 不動産投資は遊びではないのです。賃貸併用住宅だからといって舐めてはいけません。本気で取り組めば不動産投資はあなたを幸せにしてくれるでしょう。しかし、中途半端な気持ちで不動産投資に取り組むと、酷い目に遭うことも多々あるのです。

 

 賃貸併用住宅を検討しているなら、家賃保証に頼れば大丈夫なんて考えは決してしてはいけません。


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