東京の物件での賃貸と購入の比較
東京と言いましても、都内の一等地から奥多摩まであるんですが、いつものことながら私が一番詳しい多摩地区のマンションの賃貸と購入についてのシュミレーションをしてみたいと思います。
新築のファミリータイプ、75平米3LDKというような、よくあるタイプのマンションで賃貸と購入の数字を計算してみましょう。
購入価格は4000万と購入時諸費用200万円の計4200万を35年ローン(フラット35、金利3パーセント固定)で返済するとします。ボーナス払いはなしとし、頭金も入れない(賃貸との比較ですから頭金を入れると比較自体ができなくなるので。もし頭金を入れた計算をするのであれば賃貸の人は頭金を入れないため、そのお金を投資用物件を買って運用してよいとかいう計算になってしまうと純粋な比較になってこない)とします。
購入派の月々の支払い額はいくらになるでしょうか。
ローンだけで16万円を超えてきます。さらに積立金と管理費を合わせると3万円前後となります。そして固定資産税が月割りで計算するとおおよそ1万円ぐらいにはなるでしょう。
月々20万の支出となります。
同じぐらいのマンションを購入したけどうちはそんなに払ってない!という声が聞こえてきそうです。
でも、よく考えてみてください。
ボーナス払いは併用してませんか?固定資産税は月割りにして計算してみたことはありますか?
積立金とかは数千円じゃないですか?しかし、その代わりに購入時にまとめて数十万円とか一括積立金として払ってませんか?さらに10年に一度また数十万円の積立金の支払いはないですか?
管理費が数千円じゃないですか?エレベーターがあったり機械式駐車場があったり(どちらも物凄く電気代がかかる)するのに安過ぎると思いませんか?
積立金と管理費を安くするのは、マンションの販売会社がマンション販売時に月々の支払いを安く見せかけるために使う常套手段です。
積立金に関しては、購入時は何千万というお金を動かすため、最初に払う数十万の積立金はほとんど気にもならないでしょう。月々の支払いに直すと一気に現実感が出てくるのでそういう形で積立金を徴収しているわけですね。さらにそれを10年毎に徴収するのが一般的です。
管理費に関しては、足りなくなるのがわかっていて、数千円という額を最初に提示します。その後、例えば5年後とかに足りなくなって管理費見直しで1万5千円とかになることが多いです。
4200万ぐらいローンを組んだけど、うちのローンの支払いは11万ぐらいだぞという声も聞こえそうです。
金利はどのぐらいですか?変動で組んでいませんか?変動で組んでいる場合、確かに今は安いです。今はこれ以上ないというぐらい金利が低いので、これから先は支払い額が上がってきます。どこまで上がるかは神のみぞ知るです。ちなみにバブル時は8パーセント台まで住宅ローン金利が上昇しました。4200万を35年ローンで8パーセントで計算すると月々の支払い額は29万8千円となります。5パーセントで計算したとしても月々21万円です。
実際固定で組んでる方も多いですし、また、一応賃貸と比較する以上、ローン完済まで支払額が変わらないフラット35を利用し固定3パーセントで計算しているので、変動で組んで現在の史上最安金利で比較することはしていないです。変動で組んでいれば将来的に100パーセントの確率で月々の支払い額は上がりますが(公定歩合が0パーセント以下、つまりマイナスになるということは絶対にないので)、どこまで上がるかは計算できないので固定3パーセントで計算することは合理的と考えます。
また、販売会社がよく使う手段は、当初3年間(この当初3年間というのをなるべくわからないように小さく書いてあったりする)優遇金利などとして、当初3年間だけ1パーセント以下の非常に安い金利で提携銀行から融資させ(もちろん販売会社は銀行から紹介料を貰います)、3年後はいきなり店頭金利になったりします。
もちろん、公務員や一流企業の社員などは店頭金利から1.6パーセント程度の優遇を完済まで受けることも可能ですが、それでも固定の金利から1.6パーセント優遇されるということはなく、あくまで変動で組んだ際店頭金利から1.6パーセント引くということです。
さて、これでおわかりになったと思いますが、フルローンで4200万のマンションを購入すると月々の支払いは20万円程度かかることになります。12ヶ月分で、年間240万円。それを35年間払い続けるとなると、8400万。これがマンションを購入して35年間住むためのコストです。もちろん、これには数百万円単位でかかる大規模修繕のお金は計算してません(35年間大規模修繕なしでいってしまうマンションもあるので)。
「ちょっと、待って。35年経ったらローンが終わって自分の持ち物になるけど、賃貸はなんにもないのだからそれを考慮に入れてよ。」となるでしょう。当然です。そのため、建築後35年が経過したファミリータイプの築古マンションの値段はいくらぐらいでしょうか。ちなみにマンションの法廷耐用年数は47年です(鉄筋コンクリートのマンションの場合。鉄骨マンションの場合はもっと短い)。耐用年数が12年しか残っていない水周り等のリフォームも1回もしていない古いマンション(もちろん耐用年数が過ぎてもきちんとお金を掛けて大規模修繕などをやれば住むことはできるでしょう)の値段はどれぐらいでしょうか。数百万の単位ですね。良くても1千万程度でしょう。
仮にマンションの残存価値を800万円と仮定し、35年後の時点でマンションを売却したとすると、8400万から800万を引き、7600万が35年間にかかるコストになるでしょう。
さあ、今度はマンションに賃貸で済み続けた場合の計算をしてみましょう。
新築の分譲タイプのマンションを借りるとします。購入のシュミレーションと同じようなファミリータイプです。
こういった分譲タイプのほぼ新築のようなマンションで賃貸に出ているのは大概転勤している人が期間限定(3年とか5年とか)で賃貸に出していることが多いです。その場合、賃貸借契約を定期借家契約で巻くことが多いので、5年に1度は引っ越すと仮定しましょう。
大体家賃は15万も出せば十分借りることができます。購入派と同じ条件で揃えるためには20年後には築20年のマンションを、30年後には築30年のマンションを借りると仮定しないといけないわけですが(築30年のマンションならば家賃は10万円もすることはないでしょう)、一応5年毎に新築マンションに住むという仮定で35年後まで月々15万円かかるとします。
賃貸は積立金も管理費も税金も一切かかりません。15万円×12ヶ月×35年=6300万円。35年間で6回引越しをする計算になり、1回の引越し費用が敷金や礼金まで含めて100万円と仮定しても600万円。つまり6900万円が35年間に賃貸でマンションに住むためにかかるコストです。
どうですか?35年間、常に新築マンションに住み続け、35年後も新築マンションに住んでいる快適さを取って6900万円。35年後には築古のマンションに住むのに8400万万円。その差額は1500万円。
もしも、35年後の時点で購入派が築35年経った築古マンションを800万円で売却しても賃貸派には700万円追いかず、購入派も賃貸派も35年後の時点でマンションは所有しておらず、35年間で支払った額は購入派8400万円、賃貸派は6900万円となります。
逆に35年後の時点で賃貸派が購入派と同程度のマンションを買いたければ、800万円程度で築35年のマンションを購入し、6900万+800万で7700万。35年後の状態は購入派と賃貸派全く同じでも(35年後の時点で共に築35年のマンションを所有)、購入派は8400万、賃貸派は7700万円となります。
どちらが得かは私には自明と思えるのですがどうでしょう。
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