サラリーマンのための失敗しない不動産投資

不動産投資におけるかきあげ

 不動産投資の世界でかきあげと言ったら食べ物のことではないですよ。最近スルガで問題になってる「かきあげ」です。

 

 ネットで「スルガ かきあげ」と調べればスルガ湾の由比名物桜えびのかき揚げが出てきてしまいますが、今日お話ししたいのは不動産の世界でフルローンやオーバーローンを組む際に使われる手法のことです('ω')ノ

 

かきあげ

 

 さて、住宅ローンではなく事業用の物件でフルローンやオーバーローンを組むというのは相当にハードルが高い(収益還元だけで出してくれた時期がなかったわけではありませんが)です。銀行の積算評価よりも随分安い物件価格であればオーバーローンも可能ですが、エンドのお客さんがそういった物件を見つけるのはかなり難しいですよね(もちろんそれほど高額な物件でなければ与信だけでフルローン組める高属性の人だっていますけど)。

 

 では、頭金と諸費用合わせて物件価格の2割や3割も入れられないという人が物件を買いたいという時に不動産屋はどうするか。

 

 その際に使う手法がいわゆる「かきあげ」なんですね。

 

 かきあげがどういう仕組みかと言えば、実際の物件の売買価格と銀行に言う物件の価格に差をつけてしまうのです。つまり、5000万円の物件を購入するとして、売り主との売買契約書には実際の5000万円という値段を記載するのですが、もう一枚銀行提出用の売買契約書を作成し、そこには売買価格6000万円と記載するわけです。

 

売買契約書

 

 もう一枚売買契約書を作るわけですから、貼る印紙代は無駄にはなりますが(いや、これも貼ったように見せかけたりもしてたのですが)、銀行からしてみれば物件価格6000万円の物件に5000万円融資することになるわけで、買主は自己資金から頭金1000万円を売主に払ったことになっていると。

 

 買主からしてみればこれでフルローンやオーバーローンが可能になるということです。

 

 もちろん、こんなの銀行を騙すことになりますから詐欺なんですよ。でも、こんなことは昔から行われているもので、銀行員だってわかってて目をつぶっていたわけです(少なくともそれを警戒して積極的に調査をしていたりしたわけではありません)。銀行だって貸すのが商売ですから。

 

 でも、スルガの場合はそれをやり過ぎたと。目をつぶってたぐらいではなく、銀行員が積極的にそれに加担していたというところが問題なのです。

 

 まあ、スルガ銀行の場合はかきあげ以外には預金残高の改変とか(これも昔からよくやる手口ですが)も積極的に関わっていたのですが、とりあえずスルガの話は横に置いときましょう。

 

 さて、今までいくらでも行われてきたこのかきあげ。実際にそれを行うと何が問題になるのでしょうか。

 

 昔は住宅ローンでもかきあげはたくさんあったのですが、住宅ローンの場合最近はフルローンもオーバーローンも結構簡単に出るようになったので、あまりかきあげをやる必要性はないかと思います。

 

 住宅ローンでかきあげをしても、後からバレることってまずないんですよね。事業性のローンと違って住宅ローンなんか凄い数を毎月銀行はこなしていますから一々そんな調べませんし。

 

 しかし、我々不動産投資家の場合はどうでしょうか。これはかなりの確率でバレてしまったり、困ったことになったりするんですよ。

 

 まず、銀行だってレインズも見ています。一旦市場に出た物件だったら「かきあげ」で2枚契約書作って銀行に提出してもかなりの確率でバレてます。バレてても今までは目をつぶってくれていましたが、それも今回のスルガの件で難しくなるのではないでしょうか。

 

 それにもしもバレずに融資が通っても、次の年の確定申告の問題があります。住宅ローンと違い、アパートローンなどを組むと銀行には毎年確定申告の写しを提出します。

 

 確定申告を実際の売買価格で提出するのか銀行に提出した価格で確定申告書に記載するのかという問題が出てくるんですね。

 

 仮に銀行に提出した価格で確定申告をしたとしましょう。そうなるとこれは脱税になります。実際は5000万円で買ったものを6000万円で購入したとして申告するわけですから税務署的には完全にアウトですよね。

 

 では、実際の購入価格である5000万円で申告すると、税務署的にはオーケーでもそれを見た銀行にはかきあげがバレますよね。金消契約の時に提出された売買価格と違ってるんですから。

 

 それをバレないようにするためには、今度は確定申告書の写しを偽造することになります。こうなるともう毎年嘘をつき続けることになり精神衛生的にも良くありませんし、バレるリスクもどんどん高まることになります。

 

かきあげが銀行にバレるのではと怖がっている人

 

 そう考えると、やはり不動産投資はかきあげなどはせず、嘘をつかずにやるのが一番ということになると思います。


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