不動産投資、最も安定した搾取
資本主義社会の搾取における不動産投資の位置づけを考えてみましょう。
これまで資本主義社会の搾取について説明してきましたが、搾取の手段としての不動産投資について考えてみたいと思います。
搾取と言うと、労働者をタダ同然で働かせる悪い会社みたいなイメージはないでしょうか。蟹工船で酷使される貧困層の労働者や紡績工場で1日16時間も働かせられる女工たちとか。
確かに昔はそうした搾取はあったんですけど、現代日本においてはもう消滅していると言っても良いでしょう。にも関わらずこういう形の労働搾取をイメージする人が多いと思うんですよね。すごくわかりやすい搾取ですから。マルクス経済学が想定していた搾取もこんな感じです。生産手段を持たない労働者が生産手段を持つ資本家に余剰生産物を吸い取られるのが搾取であると。
労働者は車を作ろうと思っても工場(生産手段)は持ってないので車は作れないですよね。しかし、資本家は工場(生産手段)を持っている、または工場を用意することができるので、資本家は生産手段を提供し、労働者は労働を提供、出来上がった生産物(この場合は車)を売ったお金の内、労働者が生きていくのに必要な分を渡した上で、残りは資本家が持っていくということです。
ただし、今はここまでの搾取は基本的にはないんですね。生きていくのに最低限の給料しか渡さないということは、まずないと言えます。
共産党などは搾取搾取と叫んでいますが、昔のような徹底した搾取は現代日本にはまず存在していません。
搾取が存在しないということではありません。資本主義社会ですから、搾取がないなんてことはありえないわけです。搾取こそが資本主義社会の大前提ですから。
しかし、毎日梅干とご飯しか食べれないで、自分で働くようになってから40年間タコ部屋に住み続け、人のお恵み以外ではビールもタバコも1回も摂取したことありません、お菓子もお肉も食べたことありませんという人は今の時代はいませんよね。
もちろん、貧困になってしまう人はいるんですよ。中々正社員になれない時代ですから。でも、そういった貧困層も仕事や仕事をする場所を選ばなければ、コンビニでお菓子一つも買えないということはないと思います。もちろん、生きていく以上にもらうといってもたかが知れていて、毎日仕事が終わったらコンビニでビール一本買えるから搾取されていなくて幸せなんて話にはならないんですが、昔の貧困と今の貧困ではレベルが違うわけです。
つまり、搾取の程度が変わってきたということなんですよね。生きていくのにギリギリぐらいしか給料を渡さないというのではなく、生きていくだけでなく、週末には飲みに行ったり、車を買ったり、趣味のフィギアを買ったり、ローンで家を買うということだって出来たり(出来ない人もいるでしょうが)するぐらいの給料は渡しているわけです。それでも搾取の構図は変わりません。
資本家の立場から考えてみると、搾取ゼロなんてことはあり得ないわけです。自分のお金(資本)を出して工場建てたのにもかかわらず、生産物の対価を給料として全て労働者に渡してしまったら、利益出ないんですから、工場建てる意味ないですよね。また、もしも、作った車が1台でも売れなかったら倒産なんてことを避けるためには内部留保として取っておくお金も必要ですし、とにかく搾取というと悪いイメージになってしまいますが、市場経済をうまく回すには絶対に必要なものなのです。
今まで存在した共産主義国家の場合は国家が搾取しそれを上層部が頂いちゃうという形で、法律やルールに基づいた資本主義の搾取よりもひどい形の搾取の構図があるのですが、それはまた別の話。
つまり、搾取の程度は変わっても人類が文明を持ち始めた時から人間社会に搾取は存在し、またこれからも存在し続けます(文明社会から隔離された小集団とかには搾取は存在しないこともあるでしょう)。
搾取のない社会に生きたいと思うのは自由でしょう。日本も含め世界には文明社会から隔離された小集団(宗教的なものもありますし、宗教とは全く関係ないものもあります)がたくさんあるのでそれに参加するのも良いでしょうし、田舎に土地を買って自給自足の生活をするのもいいでしょう。
私個人としては現在生きているこの文明社会で暮らし続けたいですし、ほとんどの人もそうだと思われますが、搾取のない社会に住むという選択もありだと思います。
ただ、ここでは搾取のある普通の文明社会のことを説明するとします。
会社なり工場なりを作って労働者を搾取するという形が一番理解しやすく一番みんながイメージする搾取だと思います。
しかし、人類史上最も鉄板の搾取は地主による搾取です。要は不動産投資を行っている階級の搾取ですね。搾取の程度が酷いということではありません。搾取する側からして最も安定して搾取できるのが不動産投資による搾取ということです。
不動産投資家の搾取の対象は労働者階級のみではありません、資本家階級すら搾取の対象となります。不動産投資家が資本家から搾取と言われてもピンとこないかも知れません。しかし、企業が活動していくためには必ずなんらかの不動産は賃貸するわけです。それは本社のビルかも知れませんし、工場の土地かも知れません、営業所なのか駐車場なのかそれとも販売所なのか自動販売機を置く場所なのかは問いませんが、ある程度の大きさの企業であれば全ての不動産を自社で所有しているということはないわけで、必ず不動産投資家に搾取されている状態となります。
つまり、「俺は自宅に住んでるし、駐車場も倉庫も借りていないから不動産投資家から搾取なんてされてないよ」という人でも、労働者から資本家が搾取で得た金を資本家から不動産投資家が搾取するという構図からすれば全ての階級から不動産投資家は搾取していると言っても過言ではないでしょう。飛ぶ鳥を落とす勢いだった全盛期のライブドアだってホリえもんだって六本木ヒルズ(オフィスと住居両方)を借りて森ビルに賃貸料を払っていたわけです。
要は不動産投資(地主になるということ)は搾取の根本であるのです。不動産投資をするということは、それが資本家だろうが労働者だろうが構わず搾取の対象とすることができるのです。
私程度の吹けば飛ぶような不動産投資家でも、学生や独身者にワンルームを、戸建ては家族に、アパートの敷地の一部を大企業に(自動販売機のロケとして)、アパートの一室を事務所として小さな企業に貸し、さらに高圧線が通っている土地に関しては超々大企業から地役権の設定がされ、線下保証として結構な額を貰っています。このように様々な企業や労働者の方から不動産の賃貸料としてお金が入ってくるわけです。
このように、不動産投資家は労働者・資本家を問わずに搾取の対象とし、現実に自分が働くことなく金銭を得ることができるため、搾取の王道と言っても良いかも知れません。
現代日本では封建社会ではなく、階級が固定されているわけではないので、たとえ労働者階級に生まれようが不動産投資家になることができるのです。自分がなりたいものになれるチャンスがあるということは大変素晴らしいことだと思います。
私は労働者だった時に不動産投資だけで生きていけるようになりたいと思いました。搾取というものが資本主義社会で必然であり、そしてその搾取と付き合って生きていかなければならないのなら、搾取されるよりも搾取する側にまわりたいと思いました(何度も言いますが搾取というシステム自体は悪いものではありません。度を越えた搾取が悪いのであって、塩だって生きていくのに必要だけれど取りすぎれば悪いのと同じです)。
そして私が選んだのが搾取の王道である不動産投資です。戦争や革命でも起こらない限り、私は死ぬまで不動産投資で生きていくでしょう。
不動産投資がどれほど素晴らしく、投資の本質をついているかは他のページでもこれまで散々説明してきましたが、資本主義社会における搾取の中の不動産投資の位置づけも理解してもらえたでしょうか。
不動産投資という搾取関連ページ
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