投資の対象は不動産でなくても構いませんが...
不動産が投資の対象となる理由がわかりません。なぜ、鉛筆や本ではなく不動産が投資の対象となるのでしょうか。
もちろん、鉛筆や本に投資するよりも不動産に投資する方が有利だから対象となるのですが、その理由はキャピタルゲインを目的とした投資なのかインカムゲインを目的とした投資なのかによって答えは少し変わってきます。
まず、キャピタルゲインを目的(安く買って高く売る)とした投資について考えてみましょう。鉛筆でも本でも良いのですが、500円で買った本を(100円で買った鉛筆でも良いのですが)全部読んだので他の人に売ろうとして、値上がりが見込めるでしょうか。
普通は見込めないですよね。全く同じものをアマゾンで同じ値段で買えるのにわざわざ中古のものを高く買う人はいないでしょう。もしもその本が人気があったとしても、どんどん増刷されて(需要が増えても供給も簡単に増やせるので)同じ値段で買えてしまいます。さらにキンドル版などの電子書籍であれば、ほぼコストゼロで供給は無限に増やせるので、値段が上がりようがないです。
不動産はどうでしょうか。そもそも全く同じ土地というものはこの世には存在しません。同じ市内のほぼ同じ広さのほぼ同じ形の土地というものはあるかも知れませんが、全く同じものというのは存在していません。当然値段は違っておかしくない、つまり定価がないということです。
さらに、人気があるからどんどん土地が作られるなんてことは(埋め立てなどの造成はありますが莫大な金がかかります)、基本的にはありません。そうなると景気が良くなったりその地域の人口が増えたりして不動産が欲しいという人が増えると(需要が増えると)価格が上がり、キャピタルゲインを得ることが出来るため(需要が上がっても供給が増えるわけでないので)投資の対象となってくるわけです。
もちろん、景気が悪くなったり、人口が減ったりするリスクがあるので、不動産投資が必ず儲かるということではありませんが(どんな投資だってリスクはあるのです)、鉛筆や本に投資するよりはリスクは低いですし、儲かる可能性も高いです。
金額という意味では高額なのでリスクが高いように思えますが、それは投資自体のリスクというよりはその金額が一般の人に取っては高額だから怖いというだけで、金額のリスクですね。鉛筆だって1億仕入れたら普通の人にとっては凄いリスクですから。つまり1億の不動産に投資するのと1億円分の鉛筆に投資するのでは、普通は鉛筆に1億円投資する方がリスクが高いと判断されるわけです。
これが鉛筆や本ではなく不動産が投資の対象となる理由です。別に鉛筆や本だって構わないのですが(本だって遠い昔に絶版になったものが高値で取引されることだってありますから)、数百円の本が数千円になったところで利益は高が知れているため、あまり投資として考える人はいないでしょう。たまたま持っている本が高値で取引されていたらラッキーとか、投資ではなくセドリで商売として成り立つというところでしょうか。
まあ、セドリも安く買って高く売るわけですから、投資と言えないことはないでしょうが、本に関して所有していても資産税等は課されませんし(不動産は当然固定資産税がかかる)、国も本の売買を投資とは見てないし、一般の人も投資ではなくビジネスとして見ていると思います。まあ、投資として見ても構いので本だって投資の対象だという見方もありです。ただ、不動産を投資の対象とする方が一般的です。
さて、本題。インカムゲイン目的の投資対象としてなぜ不動産が人気があるのかについてです。
インカムゲイン目的の投資の対象が鉛筆や本でない理由ですが、まずは希少性の問題です。本や鉛筆は需要からすれば、供給はほぼ無限に増やせます。日本の全ての木を伐採して足りなければ世界中から輸入することも出来ますが(いや、まあ、日本の全ての木を伐採しなければならないほど鉛筆や本の需要が高まることはないですが)、土地は需要が増えたからといって供給を増やすことは、戦争でもして他の国の土地でも奪わない限り、基本的には出来ません。
不動産はその希少性から全ての人が所有することが難しいので、人から借りて使うということも一般的であることから、きちんとした賃貸のマーケットが存在するため、インカムゲイン目的の投資として魅力的なわけです。希少性という理由はキャピタルゲイン目的の投資対象でない理由と被りますね。
昔は貸本屋というものが存在していたぐらいですから、本を貸してお金を取っても良いのですが、現在は貸本屋はほぼ成立しないですよね。昔は本は貴重でしたから成り立っていましたが、本の希少性が薄れた現在は本がインカムゲイン目的の投資の対象となることはないでしょう。
鉛筆に至っては、使っている内に無くなってしまいますからね。売買が基本となるためインカムゲイン目的の投資にはなり得ないでしょう。
土地に関しては、鎌倉時代から使ってたから損耗してなくなっちゃったなんてことはなく、損耗していかないものなのでインカムゲイン目的の投資の対象になるわけです。何億年とか使用していれば損耗してしまうものなのかも知れませんが、人間の歴史のスパンで考えれば通常は土地の損耗というものは考えられません。
つまり、不動産はその希少性、しっかりとした賃貸マーケットの存在、損耗しないこと等の理由で古代から投資の王道とされてきたのです。
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