賃貸併用住宅の立地

賃貸併用住宅でも立地が一番重要

 賃貸併用住宅ではなくアパートを新築しようとすれば、ほとんどの人は企画の段階で徹底的に立地にはこだわると思います。不動産投資は何よりも立地が重要ということは、少なくともアパートを新築で建てようとしている人にとっては常識でしょう。

 

 しかし、賃貸併用住宅を新築で建築しようとする人の中には自分が不動産投資をするということをきちんと意識できていない人たちもいます。私このサイトで口が酸っぱくなるぐらい言ってますが、賃貸併用住宅だって立派な不動産投資です。

 

 不動産投資である以上、立地が最も重要な要素であることは当然なのですが、この視点が欠けているというか、不動産投資を甘く見てしまっている人がいるのも事実。どういうことか。

 

不動産投資を甘く見ている人

 

 アパートを新築しようと思うならば、きちんとニーズが存在しているか、そしてそのニーズはどのようなものなのかをしっかり考えますよね。

 

 例えば、駅から離れた閑静な住宅地にワンルームを作ってもニーズは非常に少ない。そんなことは不動産投資家なら誰だってわかっていることですから、新築でワンルームのアパートを建てる際に住宅地にワンルームのアパートを作ってしまうことは普通はないわけです(ハウスメーカーが家賃保証で地主を騙して駅から遠く離れた住宅地や周囲が畑だらけなんて土地にワンルームのアパートを建てさせてしまうなんてことはあります。さすがに最近はそんな土地にワンルームを建てることは少なくなりましたが)。

 

 しかし、ハウスメーカーなどはいわゆる不動産投資家ではなく、不動産投資などやったことのない一般のサラリーマンをターゲットに賃貸併用住宅を販売しています。ハウスメーカーからしてみれば、鴨が葱を背負って来るようなもの。甘い見通しや家賃保証などで建築費は高くても無理矢理自分のところで建物を建てさせるわけです。

 

 その際に、賃貸部分はワンルームにする方が収支が良くなる(あくまで入居者が居ればの話ですが)のでそうした提案をしたり、また、お客さんがワンルームを希望すれば需要ないなと思ってもワンルームで建てしまうのです。家賃保証だから安心だなんて甘言で騙すんですね。

 

 いや、建てようとする土地が駅近なら良いんですよ、ワンルームでも。問題は、そもそも賃貸の需要がなかったり、需要があってもファミリー世帯の需要しかない土地でワンルームのアパートを建ててしまうのが問題なのです。

 

 

 さて、ここからが本題です。不動産投資家ではない普通のサラリーマンが賃貸併用住宅を建てようとします。建物を建てる土地はどこでしょう。親から相続した土地かも知れません。それとも自分が一から土地を買ってその上に建てるのかも知れません。

 

 もしも、親から相続した土地が駅からすぐそばの一等地だったすれば、それは賃貸部分はワンルームにするのが正解でしょう。単身世帯の需要が多いですし、ワンルームの方が利回りが良くなりますから。

 

 でも、そもそも駅前の一等地相続って割合的に非常に少なく(駅前の面積なんて普通の市街地の面積と比べたらほんの僅かです)、そんな良い土地を相続した場合、相続税が結構な額になるので親が存命のうちにかなりの借金でもして上にビルでも建てていない限り相続税払えなくて売ってしまうことが多いのではないでしょうか。駅前とまではいかなくても駅から徒歩10分圏内の土地(単身世帯の需要が多い土地)は、駅から徒歩10分以上の土地に比べてどれだけ少ないかという話です。

 

 つまり、駅から離れた閑静な住宅街にある実家を相続し、建物は古いので取り壊して新たに家を建てようとすることの方が相続としては多いわけで、その際に建物を賃貸併用住宅にしようという場合は賃貸部分をワンルームにしてしまうという間違いを犯してはいけないということです。

 

 

 また、土地から買って賃貸併用住宅を建てようとなった場合、普通は駅前に住もうとは思わないですよね。駅前のマンションに住みたい人は多いでしょうが、駅前に戸建てを建てたいという人はまずいません。駅前で騒々しく、夜には家の前の道路で酔っ払いがゲロを吐くなんて環境に自宅を建てようという人はそうそういないわけで。まあ、そもそも駅前の容積率に余裕のある高い土地をわざわざ家建てて住もうという人はいないわけです。

 

 そうなると、自分が自宅を建てたい土地というのは、あまり騒々しくない住宅地になることが多いわけです。そうした閑静な住宅街に単身世帯の需要はほとんどありません。そんなところに賃貸部分がワンルームの賃貸併用住宅を建ててはいけないのです。もしも、建てるのであれば例えば若い夫婦やカップル、経済的に少し余裕のある単身者など向けの50平米前後ぐらいの1LDKや2DKなどの部屋などであれば需要があると思います。もちろん、家の前に駐車場があること前提です。

 

 そうなると2階部分が50平米×2部屋で100平米、1階が自宅で100平米、計200平米。住宅街なので容積率が80%として計算すると必要な土地は250平米、つまり約75坪。東京の一般的な戸建てが30坪前後ですから、東京の住宅地では相当大きな土地でないとダメということになります(地方は全く話が別です)。これで家賃でローンを払うというのはかなり難しいと言えるでしょう。まあローンの足しにはなるのでだいぶ楽にはなると思いますが。

 

 

 じゃあ、賃貸併用住宅なんて出来ないじゃないかと思われるかも知れませんが、駅から徒歩15分圏内ぐらいで、駅近でもないけど歩いて駅まで行けて、戸建てとアパートが混在しているような場所があるじゃないですか。そこらへんなら良いと思うんですよね。

 

 1階を自宅にして2階がワンルームのアパートで成立すると思います。中高層住宅用途地域で建ぺい率が60%で容積率が200%で、例えば20平米のワンルーム4部屋(または25平米のワンルーム3部屋とか)、自宅部分が80平米(75平米)。必要な土地は30坪ちょっと。坪単価100万で買ったとしても、土地が3000万。建物はハウスメーカーではなく工務店で建てて坪60万前後だとして3000万ぐらい。土地と建物で計6000万。ローンは35年ローンで月々17万円程度。ワンルームの家賃6万円×4部屋で24万円(全部東京の郊外という仮定です)。

 

 つまり、土地から買って自宅を建ててローンが家賃で全て払えてお小遣いまで貰える状態を作ることが可能なんですね。これなら賃貸併用住宅をやる価値があります。家賃でローンを払い、余った家賃は貯金しておき(年間80万円)、自分は通常の貯蓄以外に、住宅ローンを払ったと思って月に10万円を貯金(年間120万)する。そして年に一度貯まった200万円を繰り上げ返済に回すと。そうすれば300万円以上返済に回せるわけです。

 

 金利を考えても20年ちょっと返済が終わる計算で、35歳の時に賃貸併用住宅を建てておけば定年前にローンが終わった自宅と毎月家賃を生んでくれるアパートが手に入るということになります(もちろん貯蓄に回した分を繰り上げ返済に回せばもっと早い段階で完済できます)。

 

 

 20年後に家賃が一部屋5万円しか取れなくても毎月20万円。もしも、一部屋4万円しか取れなくても(ちなみに私は築30年超のアパートで駅から徒歩13分の17平米しかないワンルームをまだ5万円で貸せているので築20年で4万円には中々ならないと思いますが)16万円も毎月入るわけですから、年金で不足する部分はしっかりと補えますよね。

 

 その頃に子供も巣立っていれば、自宅部分も月10万円で賃貸に出して自分は駅前のマンションを借りて住んでも良いかも知れません。まあ、色んな暮らし方が選べますよね。

 

 賃貸併用住宅も不動産投資の一つ。立地が最も大切だということをしっかりと理解しないと痛い目に合う恐れがあります。


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