公務員が不動産投資をやる上での問題点

副業にあたるのか

 みなさんが国家公務員であれ地方公務員であれ、不動産投資をすることは副業にあたらないのかということが一番心配なところだと思います。

 

 ようするに副業禁止規定に該当しないのか、職務専念義務違反に抵触しないのかという部分です。国家公務員法103条(私企業からの隔離)と地方公務員法38条(営利企業等の従事制限)にひっかからないかが一番心配なポイントですよね。

 

 結論から言えば、不動産投資の「やり方による」ということになります。

 

 副業であっても、営利性の低いものについては認められることが多いです。不動産からの収入も、一定規模以下の不動産賃貸借による収入であれば副業にはあたらないといえます。

 


 

 では、一定規模以上とはどこまでを指すのでしょうか。人事院規則にその規定があります。

 

 人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について(居住用賃貸物件に関する部分のみ抜粋しました)

 

 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。また、独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。また、不動産収入が500万円未満であること。

 これを簡単な言葉で言うと5棟10室以上の規模、または家賃収入が年間500万円以上であればそれは一定規模以上と認定されるわけです。税法上の事業的規模に達しているという判断と全く同じ基準ですね。青色申告の特別控除が貰える規模です。

 

 5棟10室とは、例えば区分所有のマンションを9室までならば一定規模以下(家賃収入が500万円未満ならばですが)となります。8部屋のアパート1棟と区分所有のマンション1つでも大丈夫です。つまり戸建てや共同住宅で5棟を超えるか、全ての部屋数で10室を超えるかで一定規模以上と認定されるわけです。

 

 そして、ここまでならば許可を得る必要もなければ申告する必要もありません。

 


 

 しかし、もし、この基準を超えてしまったらどうすれば良いのでしょうか。

 

 その場合は許可を取る必要が出てきます。

 

 その際に大切なことは、物件の管理は全て業者に委託すること。これだけは絶対守ってください。これを委託していないと自分で管理していることになり、一定規模以上かどうかは関係なく副業禁止規定にひっかかります。なのでNGです。

 

 許可を取る際には、所有している物件の概要、家賃表(レントロールを月ベース年間ベース)、管理の委託契約書などを揃えておけば手続きがスムーズです。

 

 ここまで書いてもまだ本当に大丈夫かな?と思われる方もいるかも知れません。でも、大丈夫です。私自身が全て通ってきた道だからです。最初の区分所有を購入した時点では申告すらせず、二つ目のアパートを購入して5棟10室を超えたところで手続きをしました。

 

 その際に庶務課の担当者から「あくまで許可を求めるのだから、物件を購入する前に申告してこないと駄目じゃないか。許可を取ってから購入しないと。」などと無茶を言われたりしましたが「不動産の購入ですよ。実際に買うまで買えるかどうかわからないのに申告するのですか?確かに売買契約は結びましたけど、それを実際に決済するまでは本当に購入できるかどうかわからないじゃないですか。当日売主がやっぱり売らないとかってことだってあるわけですよ。どうやってまだ持ってないものの申告をするのですか。他人が所有している不動産を自分のものだとして申告していいのですか?昨日売買が成立したので今日申告に来たんですよ。これ以上は早く申告できるわけないじゃないですか。無理を言わないで下さい。」と切り抜けたりしましたが、不動産投資自体全く問題はありませんし、5棟10室の基準を超えても申告すれば基本的には許可は貰えるわけです。私の場合はたまたま庶務課の担当者が不動産投資に無知で、さらに意地悪だったということですが。

 

 そもそも、親の財産を相続することだってよくあることで、親がアパートなどを持っていて、相続の際に公務員だから親の持っていた財産であるアパートの相続は放棄しなければならないなんてことは絶対にありえないでしょう?つまり、相続した上でそのアパートの管理は不動産業者に委託しさえすれば5棟10室の基準を超えたとしても問題はないのです。

 

 その基準は相続だろうと購入だろうと全く同じことです。

 

 

 だいたい、国家公務員の幹部などは転勤で全国を回るわけで、単身赴任で行く人もいますが、家族を連れて転勤し、その間自宅を人に貸すなんて当たり前のように行われています。その収入も立派な不動産賃貸収入ですから、もし副業にあたるようであれば彼らは自宅を人に貸すこともできなくなります。

 

 なので、不動産投資は副業にあたるのではとビクビクする必要は全くないのです。


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